アッカーマンシア
Akkermansia
Definition
腸の粘液層(ムチン)をエサにして棲む珍しい腸内細菌。肥満や代謝との関わりが研究されている。
この項目のポイント
- アッカーマンシアは腸の粘液層(ムチン)をエサにして棲む珍しい菌
- 肥満や代謝との関わりが研究され、少ないという報告が知られている
- 増えすぎると粘液層を削る可能性も指摘され、多ければよいとは言えない
アッカーマンシアとは
アッカーマンシアとは、腸の粘液層をエサにして棲むという、変わった性質をもつ腸内細菌です。正式にはアッカーマンシア・ムシニフィラといい、名前のとおりムチンを利用して暮らしています。
多くの腸内細菌が食べもの由来の成分をエサにするのに対し、この菌は動物自身が出す粘液を利用します。この独特の立ち位置から、腸内フローラの研究でたびたび注目されてきました。
肥満や代謝との関わりが研究されている
アッカーマンシアは、肥満や代謝との関わりという文脈で語られることの多い菌です。人の研究では、肥満の人や2型糖尿病の人でこの菌が少ないという報告が知られています。
そのため、腸内環境と体重や代謝のつながりを説明するときに引き合いに出されることがあります。ただし、少ないという報告があることと、増やせば体調が変わることは別の話です。因果関係については、まだ慎重に扱われている段階と考えられています。
腸内細菌の話題では、少ないという報告がいつのまにか増やしたほうがよいという主張に置き換わってしまうことがあります。アッカーマンシアはその代表格とも言える菌で、情報を受け取るときは、どこまでが報告でどこからが解釈なのかを分けて読むことがすすめられます。
多ければよい、とは言えない菌
この菌については、増えすぎると粘液層を削ってしまう可能性も指摘されています。粘液層は腸の壁を守る層でもあるため、そこを削る側に傾きすぎるのは望ましくないという見方です。
つまりアッカーマンシアは、少なすぎても多すぎても具合が悪いかもしれない、という位置づけで語られる菌です。腸内細菌をひとつずつ増やす発想ではなく、腸内環境全体のバランスや菌の多様性で見るほうが実態に合っている、という考え方の代表例とも言えます。
犬猫での知見はこれから
犬や猫におけるアッカーマンシアの知見は、まだ限定的です。人で分かってきたことがそのまま犬猫に当てはまるとは限らないため、情報を目にしたときは、どの動物での話なのかを確かめて読むことがすすめられます。
腸内細菌の研究は人を対象にしたものが先行しており、犬猫の分野はこれから積み上がっていく段階にあります。アッカーマンシアのように人の話題で先に有名になった菌は、犬猫の飼い主向けの情報でもそのまま語られがちなので、注意が必要です。愛犬や愛猫の腸のことで気になる点があるときは、動物病院で相談してください。
本項目は一般的な知識の紹介であり、獣医学的な診断・治療を目的とするものではありません。愛犬・愛猫の体調に不安があるときは、動物病院・獣医師にご相談ください。
FAQよくある質問
アッカーマンシアはどんな菌ですか?
正式にはアッカーマンシア・ムシニフィラといい、腸の粘液層(ムチン)をエサにして棲むという珍しい性質をもつ腸内細菌です。
多いほうが良い菌ですか?
肥満の人や2型糖尿病の人では少ないという報告がある一方で、増えすぎると粘液層を削ってしまう可能性も指摘されています。多ければよいという単純な話ではないとされています。
犬や猫でもわかっていますか?
犬猫での知見はまだ限定的です。人の研究で語られている内容がそのまま当てはまるとは限らないため、種差を踏まえて読む必要があります。