腸活・ケア

糞便移植

fecal microbiota transplantation

Definition

健康な個体の便に含まれる腸内細菌を、腸内環境が乱れた個体に移す方法。人の医療で研究が進み、犬でも研究が行われている。

この項目のポイント

  • 糞便移植は健康な個体の腸内細菌を別の個体に移す方法
  • 人の医療で研究が進み、犬でも研究が行われている段階
  • 家庭で試すものではなく、提供側の健康チェックが不可欠

糞便移植とは

糞便移植とは、健康な個体の便に含まれる腸内細菌を、腸内環境が乱れた個体に移す方法のことです。特定の菌を1種類だけ届けるのではなく、便に含まれる菌の集まりをまとめて移すという発想が特徴とされています。

人の医療の分野で研究が進んできた方法で、近年は犬でも研究が行われています。腸内の菌のバランスが崩れた状態はディスバイオシスと呼ばれ、そこにどう働きかけるかという文脈で語られることの多い言葉です。

どのような研究が行われているか

犬では、アレルギー症状のある犬に健康な犬の便由来の菌を経口で与えるパイロット研究が国内でも行われ、症状の指標に差が見られたと報告されています。パイロット研究とは、本格的な研究に進む前に小さな規模で行われる予備的な研究のことです。

つまり現時点では、可能性が探られている段階にあたります。誰にでも当てはまる方法として確立しているわけではない、という前提で受け取ることが大切です。

家庭で試すものではない理由

糞便移植は、まだ研究段階の方法です。家庭で試すものではありません。

理由のひとつが、提供側の健康チェックが不可欠であるという点です。便には有用な菌だけでなく、体調によってはそれ以外の微生物が含まれる可能性もあります。提供する側の健康状態を確認する仕組みがないまま行うことは、受け取る側にとってのリスクにつながると考えられています。

腸内フローラに働きかけたいと考えるなら、まずは日々の食事やプロバイオティクスの活用など、獣医師と相談しながら進められる方法から検討するのが現実的です。現状を知る手がかりとして腸内フローラ検査が使われることもあります。

関連する考え方

糞便移植と近い発想として、その子の免疫の反応を見て合う乳酸菌を選ぶという考え方(マッチング検査)も研究されています。同じ菌でも合う子と合わない子がいるという前提に立ち、腸管免疫の反応から個体ごとの相性を探ろうとするものです。こちらも研究が進められている段階にあります。

本項目は一般的な知識の紹介であり、獣医学的な診断・治療を目的とするものではありません。愛犬・愛猫の体調に不安があるときは、動物病院・獣医師にご相談ください。

FAQよくある質問

家で試すことはできますか?

できません。まだ研究段階の方法であり、提供側の健康チェックなど専門的な管理が必要です。家庭で行うものではないとされています。

犬での研究はどこまで進んでいますか?

アレルギー症状のある犬に健康な犬の便由来の菌を経口で与えるパイロット研究が国内でも行われ、症状の指標に差が見られたと報告されています。まだ限られた規模の研究です。

似た考え方の方法はありますか?

その子の免疫の反応を見て合う乳酸菌を選ぶという考え方も研究されています。いずれも研究段階のため、日常のケアは獣医師と相談しながら進めてください。