定着抵抗性
colonization resistance
Definition
すでに腸に棲んでいる菌が、外から入ってきた病原性の菌をそのまま居つかせない仕組みのこと。菌のバランスが乱れると弱まるとされる。
この項目のポイント
- 定着抵抗性は外から来た菌を腸に居つかせない仕組みのこと
- エサと居場所の先取り、酸による環境づくり、免疫との連携で成り立つ
- 菌のバランスが乱れるとこの力が落ちると考えられている
定着抵抗性とは
定着抵抗性とは、すでに腸に棲んでいる菌たちが、外から入ってきた病原性の菌をそのまま居つかせない仕組みのことです。腸に入ってきた菌がすべて住みつくわけではないのは、先住の菌が場を押さえているためだと考えられています。
新しく来た菌をせき止めるのは、体だけの力ではありません。腸内にいる菌そのものが、腸を守る側にまわっているという見方です。すでに満室の宿には新しい客が入りにくい、という様子にたとえて説明されることもあります。
三つの働きで成り立つ
定着抵抗性は、ひとつの仕組みではなく複数の働きが重なって成り立つと考えられています。
ひとつ目は、エサと居場所を先に押さえてしまうことです。腸に届いた栄養も、腸の壁にくっつく場所も限りがあるため、先住の菌が使っていれば新しい菌は増えにくくなるとされます。
ふたつ目は、菌が作る酸によって環境そのものを変えることです。善玉菌が短鎖脂肪酸などを作ると、腸の中がほかの菌にとって棲みにくい状態になると考えられています。
三つ目は、体の免疫との連携です。腸管免疫と協力して、居ついてほしくない菌を排除する方向に働くとされています。
これらはどれか一つが決め手になるというより、重なって効いていると考えられています。ひとつの働きが弱っても、ほかの働きが補える構えになっているという整理です。
バランスが乱れたとき
これらの働きは、腸内細菌のバランスが保たれていることが前提になります。バランスが乱れた状態、いわゆるディスバイオシスでは、この力が落ちると考えられています。
とくに注目されるのが、抗生剤を使ったあとの時期です。菌の構成が大きく変わることでエサも居場所も空いてしまい、外から来た菌が居つきやすい状態になるとされています。投薬そのものは必要があってのことですから、自己判断はせず、経過については獣医師に相談してください。
多様性という土台
定着抵抗性を保つ土台として語られるのが菌の多様性です。いろいろな菌がそれぞれの役割で場を埋めているほど、すき間が生まれにくいと考えられています。
逆にいえば、顔ぶれが偏っているときほど空きができやすく、外から来た菌にとっては入りやすい状態になるという説明になります。
特定の菌を入れれば整うという単純な話ではなく、全体のバランスとして見る視点が重視されている領域です。日々のごはんと暮らしの積み重ねが土台になると考えられています。
本項目は一般的な知識の紹介であり、獣医学的な診断・治療を目的とするものではありません。愛犬・愛猫の体調に不安があるときは、動物病院・獣医師にご相談ください。
FAQよくある質問
定着抵抗性は何のために大切なのですか?
外から入ってきた病原性の菌がそのまま腸に居つくことを防ぐ働きとされ、腸内細菌のバランスを考えるうえで重要な視点とされています。
抗生剤を使うと定着抵抗性はどうなりますか?
腸内細菌のバランスが変わることで、この力が落ちると考えられており、抗生剤の使用後に注目される考え方です。投薬については必ず獣医師の指示に従ってください。
犬や猫でも当てはまる考え方ですか?
犬や猫の腸内細菌でも同じ枠組みで研究が進められている領域です。