LPS(リポ多糖)
lipopolysaccharide
Definition
一部の細菌の外側の膜を構成する成分。内毒素とも呼ばれ、腸のバリアがゆるんで血液側に漏れ出すと免疫が反応するとされる。
この項目のポイント
- LPSは一部の細菌の外膜を構成する成分で、内毒素とも呼ばれる
- 腸の中にある分には問題になりにくいとされている
- バリアがゆるんで血液側に漏れると免疫が反応すると研究されている
LPS(リポ多糖)とは
LPSとは、一部の細菌の外側の膜を構成している成分のことです。リポ多糖の略で、内毒素(エンドトキシン)とも呼ばれます。グラム陰性菌と呼ばれるグループの細菌が持っている成分で、菌そのものが出す毒というより、菌の体の一部だと考えるとわかりやすい物質です。
犬や猫の腸の中にも、この成分を持つ菌はふつうに暮らしています。つまりLPSは特別なものではなく、腸の中に常にあるものだとされています。名前の響きから外から入ってくるもののように思われがちですが、もともと体の中にある菌に由来する成分です。
どこにあるかで意味が変わる
LPSが注目されるのは、それがどこにあるかによって体の受け止め方が変わると考えられているためです。腸の中にとどまっている分には問題になりにくいとされますが、腸のバリアがゆるんで血液側へ漏れ出すと、免疫がこれを異物として認識して反応するとされています。
この反応が長く続くと、体の中でくすぶるような炎症につながると研究されています。強い症状としてはっきり出るというより、静かに続く状態として語られることが多い領域です。
腸内環境の話が、腸から離れた場所の話とつなげて語られることがあるのは、この流れが想定されているためです。LPSは、その橋渡しにあたる物質として説明されます。
腸のバリアとセットで語られる
そのため、LPSの話は腸のバリアの話とほぼ必ずセットになります。細胞同士を結びつけるタイトジャンクションがゆるんだと考えられる状態、いわゆるリーキーガットと並べて説明されるのが一般的です。
また、免疫の側から見れば、腸は外から来るものを最初に受け止める場所です。腸管免疫との関わりという観点からも検討が進められています。
菌のバランスという視点
LPSを持つグラム陰性菌には、大腸菌のように腸内に常にいる菌も含まれます。数が増えすぎた状態や、悪玉菌が優勢になった状態との関連が話題になることもあります。
ただし、菌の種類だけで良し悪しを決められるものではないとされています。同じ菌でも、数や割合、腸の状態によって受け止め方が変わるためです。
LPSをめぐる話は、菌を減らすという発想よりも、腸のバリアと菌のバランスの両方を土台として考えられている領域だといえます。愛犬や愛猫の体調が気になるときは、動物病院で相談してください。
本項目は一般的な知識の紹介であり、獣医学的な診断・治療を目的とするものではありません。愛犬・愛猫の体調に不安があるときは、動物病院・獣医師にご相談ください。
FAQよくある質問
LPSは体に悪いものですか?
腸の中にとどまっている分には問題になりにくいとされています。腸のバリアがゆるんで血液側に漏れ出したときに、免疫が異物として反応すると研究されています。
どんな菌がLPSを持っていますか?
グラム陰性菌と呼ばれるグループの細菌が、外側の膜の成分として持っています。腸内にも常にいる菌が含まれます。
犬や猫でもLPSは話題になりますか?
腸内環境と体のくすぶるような炎症をつなぐ物質として、犬や猫でも研究が進められている領域です。