抗生物質のあと、腸で何が起きているのか

動物病院で抗生物質を処方されたあと、便がゆるくなったり、食欲が普段と違ったりして心配になる飼い主は少なくありません。

抗生物質と腸内フローラの関係でふれたとおり、抗生物質は治療の対象となる菌だけでなく、腸にすむ他の菌にも影響することがあるとされています。

ここでは、飼い主として見ておきたい3つの視点と、抱きやすい誤解を整理します。

視点1 便の状態

いちばん見えやすい変化は便です。

便チェックブリストルスケールの考え方を使って、かたさや色、回数をふだんと比べておくと、変化に気づきやすくなります。

服用中に多少やわらかくなること自体は珍しくないとされていますが、水のような下痢が続く、血が混じるといった場合は、すぐに獣医師へ連絡してください。

視点2 食欲と元気

便の変化とあわせて見ておきたいのが、食欲と元気の様子です。

多少食欲が落ちても、水を飲み、動き回っているようであれば、そのまま様子を見つつ服用を続けるケースもあります。

ただし、まったく食べない、ぐったりしている、といった様子があるときは、便の状態にかかわらず早めに相談したほうがよいとされています。

視点3 食事は普段どおりを保つ

抗生物質を飲んでいる間は、フードの切り替えなど、食事面での別の変化を重ねないほうがよいという考え方があります。

腸内フローラが落ち着いていない時期に食事まで変えると、どちらが便の変化の原因なのか分かりにくくなるためです。

食事を見直したいときも、服用が終わって様子が落ち着いてからのほうが、変化の理由をつかみやすくなります。

よくある誤解

便が落ち着いたから、自己判断で服用をやめてよい
症状が軽くなったように見えても、原因菌が十分おさえられていないことがあります。

処方された分は最後まで、獣医師の指示どおりに続けることが大切とされています。

発酵食品やプロバイオティクスを大量に与えれば早く回復する
発酵食品プロバイオティクスを取り入れる飼い主もいますが、量を増やすほど早く回復するという裏づけはありません。

持病がある場合や他の薬を使っている場合は、与える前に獣医師に確認したほうが安心です。

腸内フローラはすぐに元どおりになる
腸内細菌叢のレジリエンスには個体差があり、落ち着くまでの期間もはっきりした目安は示されていません。

すぐに元に戻らなくても焦らず、便と食欲の様子を見ながら過ごすことが基本になります。

まとめ

抗生物質のあとに見ておきたいのは、次の3つです。

  1. 便の状態(かたさ・色・回数)
  2. 食欲と元気
  3. 食事は普段どおりを保ち、他の変化は重ねない

気になる変化が続くときは、自己判断で対処せず、処方した動物病院に相談してください。

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本記事は犬と猫の健康にまつわる一般的な知識の紹介であり、病気の診断・治療・予防を目的とした獣医療行為ではありません。体調に不安があるときは、必ず動物病院・獣医師にご相談ください。