便は、腸から届く毎日の便り
腸の中で何が起きているかは、外からは見えません。
検査をすればわかることもありますが、毎日できるものではありません。
その点、便は毎日出てきます。
便チェックは、腸の状態を外から知るいちばん手軽な手がかりとされています。
大切なのは、良い便の絶対的な基準を覚えることではありません。うちの子のいつもを知っておくことです。
そのうえで、変化に気づけるようにします。
見るのは4つ
硬さ
拾い上げたときに形が保たれ、地面にあとが残らない程度が目安とされます。
柔らかくて崩れるときは、水分が多いか、腸が水を吸収しきれていない状態が考えられます。
逆に硬くコロコロしているときは、水分不足や食物繊維の不足が関わることがあります。
硬さは、水分補給の状況と一緒に見ると判断しやすくなります。
色
茶色の範囲であれば、濃さの違いは食べたものの影響を受けます。
注意したいのは、真っ黒でタール状のとき、赤い血が混じっているときです。
どちらも自己判断せず、動物病院にご相談ください。
白っぽい、灰色に近いといった変化も、いつもと違えば相談の対象になります。
におい
においの変化は、量や硬さより先に気づけることがあります。
急ににおいがきつくなる背景のひとつに、タンパク質の腐敗発酵があります。
消化しきれなかったタンパク質が大腸まで届くと、腐敗産物が生じてにおいが強くなるとされます。
これは悪玉菌が優勢になっているサインとして語られることがあります。
ただし悪玉菌をゼロにすればよいという話ではなく、増えすぎないことが大切とされています。
回数
犬猫とも、1日1回から数回が一般的とされますが、幅があります。
ここでも基準はうちの子のいつもです。
回数が急に増えた、あるいは丸1日出ていない、という変化のほうが情報になります。
便が教えてくれること
腸の中では、善玉菌が食物繊維などを発酵させて短鎖脂肪酸をつくっています。
この短鎖脂肪酸は、大腸の粘膜細胞のエネルギー源になるとされ、腸の状態を保つうえで重要と考えられています。
菌のバランスが崩れた状態をディスバイオシスと呼びます。
便の変化は、この崩れを外から推測する手がかりのひとつです。
とはいえ、腸内フローラには多少の変化なら元に戻ろうとする力があるとされます。
1日崩れたからといって、すぐに深刻な状態になるわけではありません。続いているかどうかを見てください。
病院に相談したほうがよいとき
次のいずれかに当てはまるときは、便の見た目にかかわらず動物病院にご相談ください。
- 血が混じっている
- 真っ黒でタール状
- 下痢が2日以上続く
- 便が出ない状態が続く
- 元気がない、食べない、嘔吐がある
便の話は、あくまで日々の観察のためのものです。
異常を感じたときの判断は、獣医師に委ねてください。
記録のすすめ
毎日書き留める必要はありません。
ただ、フードを変えたとき、サプリを始めたとき、環境が変わったときの前後だけでも記録しておくと、あとで何が影響したのかを振り返れます。
写真を1枚撮っておくだけでも、記憶より正確です。
動物病院で相談するときにも役立ちます。
まとめ
- 見るのは硬さ、色、におい、回数の4つ
- 基準はうちの子のいつも。変化に気づくことが目的
- においは早く気づけるサインになりやすい
- 1日の変化より、続いているかどうかを見る
- 血便、黒い便、続く下痢は自己判断せず受診を
腸の言葉は腸活・ケアの用語一覧にまとめています。
本記事は犬と猫の健康にまつわる一般的な知識の紹介であり、病気の診断・治療・予防を目的とした獣医療行為ではありません。便の異常や体調に不安があるときは、必ず動物病院・獣医師にご相談ください。


