バイオフィルム
biofilm
Definition
細菌が集まって作るネバネバした膜状の構造物。菌が自ら多糖類を出して身を守る住まいで、歯の表面・皮膚・腸の粘膜などに作られる。
この項目のポイント
- バイオフィルムは細菌が集まって作るネバネバした膜状の構造物
- 菌が自ら出す多糖類(EPS)の中にこもり、薬や免疫が届きにくくなるとされる
- 歯の表面・皮膚・腸の粘膜など体のあちこちで作られる
バイオフィルムとは
バイオフィルムとは、細菌が集まって作るネバネバした膜状の構造物のことです。菌は自分たちで多糖類(EPS)を出し、その中に身を寄せ合って暮らします。単独で漂っている菌とは違い、菌にとっての住まいのような状態になります。
台所の排水口のぬめりや、水槽の内側に付く膜も同じ原理でできています。菌が単体ではなく集団で暮らしているという事実は、体の中の菌を考えるときにも土台になる考え方です。
菌が身を守るしくみ
膜の内側にいる菌には、薬も体の免疫のしくみも届きにくくなるとされています。同じ菌でも、ばらばらに漂っているときと膜の中にいるときでは、外からの働きかけへの反応が変わると考えられています。菌の名前だけを見ていても状況がつかみにくいのは、こうした住み方の違いがあるためです。
また、細菌同士が合図となる物質を出し合い、仲間がどれくらい増えたかを感じ取って一斉に動くしくみも知られています。これはクオラムセンシングと呼ばれ、バイオフィルムができあがる過程に関わると研究されています。菌を「一匹ずつの生きもの」ではなく「集団として振る舞うもの」として見る視点につながる考え方です。
体のあちこちで作られる
バイオフィルムは、歯の表面、皮膚、腸の粘膜など、体のさまざまな場所で作られます。もっとも身近なのが歯の表面で、歯みがきで落とせるうちは歯垢と呼ばれ、時間が経つと硬くなって落としにくくなるとされています。早い段階なら物理的に崩せるものが、時間の経過とともに手が届きにくくなるという性質は、日々のケアが語られる理由そのものです。
皮膚の表面でも同じように菌は定着します。口腔内細菌叢や皮膚常在菌を考えるときにも欠かせない視点で、どこにどんな膜ができているかが、その場所の菌の顔ぶれを支えていると考えられています。
腸とのつながり
腸の内側は粘液層に覆われており、菌にとっては住み着きやすい足場になります。ここでも菌は膜を作って定着すると考えられており、どんな菌がどこに住み着くかが腸内フローラの顔ぶれを左右すると研究されています。口の中のぬめりも腸の粘膜も、菌が集団で暮らす場という点では地続きです。日々のケアを腸まで含めて考える理由のひとつが、ここにあります。
本項目は一般的な知識の紹介であり、獣医学的な診断・治療を目的とするものではありません。愛犬・愛猫の体調に不安があるときは、動物病院・獣医師にご相談ください。
FAQよくある質問
犬や猫の歯のぬめりもバイオフィルムですか?
歯の表面にできるぬめりは、細菌が集まって膜を作った状態と考えられています。歯みがきで落とせるうちは歯垢と呼ばれ、時間が経つと硬くなって落としにくくなるとされています。
バイオフィルムは腸にもできますか?
腸の粘膜の表面でも菌が膜を作ることが知られています。腸の内側は粘液層に覆われており、菌にとって住み着きやすい場所と考えられています。