皮膚バリア
skin-barrier
Definition
犬や猫の皮膚のいちばん外側で、水分を逃がさず外からの刺激を通しにくくしている仕組みのこと。角層の細胞と脂質、皮脂、常在菌が重なって成り立っているとされる。
この項目のポイント
- 皮膚バリアは角層の細胞と脂質、皮脂、常在菌が重なってできている仕組み
- 犬の角層は人より薄いと報告されており、乾燥や刺激の影響を受けやすいとされる
- 腸のタイトジャンクションと役割が似ており、腸皮膚相関の文脈で並べて語られる
- 皮膚の不調は原因が多岐にわたるため、続くときは動物病院で相談する
皮膚バリアとは
皮膚バリアとは、皮膚のいちばん外側で、体の水分を逃がさず、外からの刺激を通しにくくしている仕組みのことです。ひとつの臓器や部品の名前ではなく、いくつかの要素が重なって成り立っている状態を指す言葉として使われます。
構成要素としてよく挙げられるのは、角層の細胞、細胞と細胞のすきまを埋める脂質、表面をおおう皮脂、そしてそこに棲む皮膚常在菌です。どれかひとつだけで守っているのではなく、層として働いていると考えられています。
レンガと目地にたとえられる
皮膚バリアの説明では、角層をレンガの壁にたとえることがあります。
レンガにあたるのが角層の細胞で、そのすきまを埋める目地にあたるのが脂質です。目地が乾いて痩せてくると、壁全体としては形が残っていても、水分は抜けやすくなり、外からのものは入りやすくなります。
この、すきまを埋めて通しにくくするという役割は、腸でタイトジャンクションが担っているものとよく似ています。場所は違っても、体の内と外を分ける境目には同じような仕組みが用意されている、という見方ができます。
犬猫の皮膚は人と同じではない
飼い主が自分の肌の感覚をそのまま当てはめてしまいやすいところですが、犬猫の皮膚は人と条件が違います。
犬の角層は人より薄く、細胞の層の数も少ないと報告されています。また皮膚pHも人とは異なる値が報告されており、人用のケア用品をそのまま使うことが勧められないのはこのためです。
被毛におおわれている点も違いのひとつです。表面が見えにくいぶん、乾燥や赤みに気づくのが遅れやすい面があります。
腸との関わりで語られる理由
皮膚の話がこの事典に出てくるのは、腸皮膚相関という考え方があるためです。
腸のバリアがゆるんだ状態、いわゆるリーキーガットでは、本来通さないはずの物質が体をめぐりやすくなると考えられています。そのめぐった先のひとつとして皮膚が語られる、という流れです。
材料の面でも接点があります。亜鉛は細胞の入れ替わりや細胞同士をつなぐ構造に関わるミネラルで、腸の粘膜にも皮膚にも関わる栄養素として登場します。腸と皮膚は、どちらも細胞が絶えず入れ替わることで成り立っている組織です。
ただし、ここは慎重に受け取ってほしいところです。腸を整えれば皮膚の悩みが解決する、という単純な図式ではありません。皮膚の不調には感染、寄生虫、アレルギー、内分泌の問題など、腸とは別の原因が数多くあります。
飼い主が家でできること
皮膚バリアそのものを外から強くする方法があるわけではありません。家でできるのは、削らないようにすることの方です。
洗いすぎは皮脂を落としすぎることにつながるとされます。逆に汚れたままにするのも常在菌のバランスを崩す要因になりえます。どちらが良いかは、その子の生活と皮膚の状態によって変わるため、動物病院で相談しながら頻度を決めるのが確実です。
ごはんの面では、総合栄養食を適量食べていれば、皮膚の材料となる栄養素は通常満たされます。特別なものを足すより、まず今の食事が足りているかを確認する順番になります。
ここに書いた内容は一般的な知識の紹介であり、獣医療ではありません。皮膚の不調が続くとき、かゆみや赤みや脱毛があるときは、動物病院で獣医師にご相談ください。
FAQよくある質問
犬の皮膚バリアは人より弱いのですか?
犬の角層は人より薄く、細胞の層の数も少ないと報告されています。そのため乾燥や摩擦の影響を受けやすいと考えられています。ただし個体差や犬種差が大きく、一律に弱いと言い切れるものではありません。
ごはんで皮膚バリアを支えられますか?
皮膚も細胞が入れ替わり続ける組織なので、材料となるタンパク質やミネラル、脂質が足りていることは前提になるとされています。総合栄養食を適量食べていれば通常は満たされます。手作りごはん中心の場合は偏りが出やすいため、獣医師に相談してください。
腸と皮膚は関係がありますか?
腸内環境と皮膚の状態が連動しているという考え方は腸皮膚相関と呼ばれ、研究が進められています。ただし腸を整えれば皮膚が治るという単純な話ではなく、皮膚の不調には感染や寄生虫、アレルギーなど別の原因も多くあります。
皮膚がかさついていたら病院に行くべきですか?
かゆがる、赤みがある、脱毛がある、なめ続ける、といった様子が重なるときは動物病院にご相談ください。季節の変わり目に一時的に乾燥することもありますが、続く場合や悪化する場合は自己判断を避けてください。
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