「取り分け」のどこが危ないのか

食卓を囲んでいると、犬や猫がじっと見上げてくることがあります。

かわいそうだから、少しだけ。

そう思って自分の料理から一口分けた経験がある人は多いはずです。

ここで見落とされやすいのが、危険な食材は具だけの問題ではないという点です。

具だけ避ければ大丈夫、ではない

玉ねぎを例に考えます。

玉ねぎの危険な成分は、加熱しても分解されないとされています。

みそ汁やスープを作るとき、玉ねぎの切れ端だけを避けて汁を与える人がいます。

しかし成分はすでに汁の中に溶け出しています。

具を避けたつもりでも、汁物として与えれば同じ危険が残ったままになります。

カレーのルー、コンソメスープ、煮物の煮汁も同様です。

「具さえ入っていなければ平気」という考え方は、この食品には当てはまりません。

味付けそのものが負担になる

危険とされる食材が入っていない料理でも、そのまま分けてよいとは限りません。

人の料理は、塩分、油、香辛料、だしのうま味成分が犬猫にとって濃く作られています。

犬や猫の体は、人ほど濃い味付けを処理するようにはできていません。

塩分の摂りすぎは腎臓や心臓に負担をかけるとされ、油の多い料理は下痢や膵臓への負担につながることがあるとされています。

危険な食材が入っていないから安心、ではなく、そもそも人向けの味付けである時点で犬猫には向いていない、と考えたほうが実態に近いといえます。

危険な食材を、仕組みでグループ分けする

一つずつ食材名を覚えるより、原因の仕組みでまとめておくと思い出しやすくなります。

  • ねぎ類: 玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんにく。加熱しても分解されない成分が赤血球を壊すとされる
  • カカオとカフェイン: チョコレート、ココア、コーヒー。分解する速度が犬猫では遅く、体にとどまりやすいとされる
  • キシリトール: キシリトールを含む菓子やガム。犬で低血糖と急性肝不全を起こすことが報告されている
  • ぶどう・レーズン: 犬で腎臓に重い障害が起きた報告がある。量との関係ははっきりしていない

どのグループも共通しているのは、加熱や少量では安全にならないという点です。

よくある誤解: 匂いを嗅がせただけなら平気

食べさせたわけではなく、匂いを嗅がせただけ、口元に近づけただけ、という場面は事故のうちに入らないと思われがちです。

ただし、思っている以上に口にしてしまっていることがあります。

なめただけのつもりが、器についた汁までしっかり口にしていた、ということも珍しくありません。

心配なときは、少量だから、匂いだけだから、と自己判断で済ませず、口にした可能性がある時点で動物病院に相談する習慣にしておくと安心です。

分けたごはんで腸活をする

人の食卓と分けることは、我慢させることではありません。

犬猫用に別で調理すれば、腸活を意識したトッピングを安心して取り入れられます。

味付けをせず、素材そのままで少量を足す。

これだけで、危険な食材の心配も、濃い味付けの負担も避けられます。

新しい食材を試すときは、フードの切り替えと同じように少量から始めてください。

まとめ

  1. 危険な食材は、具を避けても汁や煮汁に成分が残っていることがある
  2. 危険な食材が入っていなくても、人向けの味付けは犬猫には濃すぎることが多い
  3. 危険な食材は、ねぎ類・カカオとカフェイン・キシリトール・ぶどう類のグループで覚えておく
  4. 手作りで足すなら、取り分けではなく別調理。少量から始めて便で様子を見る

食材ごとの詳しい注意点は食材・ごはんの用語一覧にまとめています。

本記事は犬と猫の健康にまつわる一般的な知識の紹介であり、病気の診断・治療・予防を目的とした獣医療行為ではありません。食物アレルギーや持病がある場合、体調に不安があるときは、必ず動物病院・獣医師にご相談ください。