かさつきに気づいた日に、何から手をつけるか
うちの子の背中がフケっぽい。
なんとなく毛づやが落ちた。
そう気づいたとき、多くの飼い主が最初に考えるのはごはんのことではないでしょうか。
気持ちはよく分かります。
毎日与えているものなので、いちばん手が届く場所です。
ただ、ここで急いでフードを変えると、かえって分かりにくくなることがあります。
先に確かめておきたいことが3つあります。
1. かゆみ、赤み、脱毛が重なっていないか
いちばん大事な切り分けはここです。
乾燥しているだけなのか、それとも皮膚バリアが崩れて炎症が起きているのか。
外から見て区別がつきにくい場面もありますが、次のような様子が重なるときは、食事の話に入る前に動物病院にご相談ください。
- かゆがってかき続ける、なめ続ける
- 皮膚が赤い、ぶつぶつがある
- 毛が抜ける、薄くなっている部分がある
- 元気や食欲が落ちている
皮膚の不調には、感染、寄生虫、アレルギー、内分泌の問題など、食事以外の原因が数多くあります。
フードを変えて2週間様子を見ているあいだに悪化した、という順番は避けたいところです。
2. 最近、生活の中で変えたことがないか
思い当たることがないか、直前の数週間を振り返ってみてください。
シャンプーの頻度を上げた、種類を変えた。
暖房を入れ始めた。
散歩コースを変えた。
おやつを新しくした。
こうした変化が皮膚に出ることがあります。
洗いすぎは皮脂を落としすぎることにつながるとされます。
犬の角層は人より薄いと報告されており、人の感覚で頻繁に洗うと負担になる場合があります。
人用のケア用品が勧められないのも、皮膚pHが人と犬猫で異なる値が報告されているためです。
3. いまの食事が足りているか
ここでようやくごはんの話になります。
ただし最初に見るのは、何を足すかではなく、いまが足りているかです。
皮膚は細胞が絶えず入れ替わることで成り立つ組織なので、タンパク質やミネラル、脂質といった材料が要ります。
亜鉛のように、腸の粘膜にも皮膚にも関わるとされる栄養素もあります。
総合栄養食を適量食べていれば、これらは通常満たされます。
逆に、手作りごはんが中心だったり、おやつの割合が大きくなっていたりすると偏りが出やすくなります。
まずは今の内訳を書き出してみるのが確実です。
腸から皮膚へ、という話の受け取り方
腸皮膚相関という言葉を目にしたことがあるかもしれません。
腸内環境と皮膚の状態が連動しているという考え方で、研究が進められている領域です。
腸のバリアがゆるむリーキーガットの状態では、本来通さないはずの物質が体をめぐりやすくなると考えられており、その先のひとつとして皮膚が語られます。
腸のタイトジャンクションと皮膚の角層は、体の内と外を分ける境目という点で役割が似ています。
面白い話ではあるのですが、受け取り方には注意が要ります。腸を整えれば皮膚が治る、という図式ではありません。 皮膚の原因の多くは腸の外側にあります。
腸のケアは土台として続ける。
皮膚に出ている症状そのものは病院で見てもらう。
この2つを別々に進めるのが、遠回りに見えて早い進み方です。
フードを変えるなら、1回に1つだけ
受診して食事を見直すことになった場合も、進め方にコツがあります。
同時に複数を変えないことです。
フードを変え、サプリを足し、シャンプーも替えると、良くなっても悪くなっても、何が効いたのか分からなくなります。
変えるのは1回に1つ。
そしてフードの切り替えは数日から1週間ほどかけて少しずつ混ぜていきます。
急に全部入れ替えると、皮膚の話とは別に便がゆるくなり、判断がさらに難しくなります。
まとめ
かさつきに気づいたら、順番はこうなります。
- かゆみ、赤み、脱毛が重なっていないか確かめる。重なるなら受診が先
- 最近変えた生活の要素がないか振り返る
- いまの食事が足りているかを確認する。足すかどうかはその後
皮膚は外から見えるぶん、飼い主が気づける場所です。
気づけたこと自体が手がかりなので、あとはそれをどこに持っていくかだけです。
ここに書いた内容は一般的な知識の紹介であり、獣医療ではありません。皮膚の不調が続くとき、かゆみや赤みや脱毛があるときは、動物病院で獣医師にご相談ください。


